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労務管理 ケース別対処法

【ケース1】能力不足の従業員(専門職)を解雇したい

【Q】
建設会社です。
構造設計や積算全般について経験豊富で技術・能力に長けていると自称する人間を技術部長として年俸およそ1000万円で雇い入れました。
ところが実際には彼には現場の知識もなく、構造設計・現場の指導監督・意匠設計者への説明など何一つ満足に行うことができません。
当社としては構造設計や積算全般について技術・能力が高いという彼の言葉を信じたからこそ技術部長として採用したので、実際にはその能力がない彼を解雇したいです。

【A】
十分な経験と技術・能力があるということを前提として雇用したにもかかわらず、実際にはそれがなかったのですから、直ちに普通解雇することも可能と考えます。

【解説】
専門職として高い知識や能力を持っているとして中途採用した場合は、高い地位と賃金が約束されることが多く、そのような知識や能力を持っていることが雇用契約の内容に含まれていると言えます。
そのため、その社員が実際にはそのような知識や能力を持ち合わせていなかった場合は、一般社員の場合に比べて普通解雇が認められやすくなります。
(新卒一括採用者であれば、専門的な能力の不足を理由に直ちに普通解雇することは許されません。研修を行ったり、他の業務に配転させる必要があります)

ただし、地位や賃金が低い場合は、専門職として期待された知識や能力のレベルも低いと言え、一般的な雇用契約の場合と同程度の合理的理由等がないと解雇はできません。

雇用するときに、専門職としての雇用契約であること、具体的に必要とされる知識や能力を記載した雇用契約書を作成するようにしましょう。
また、その知識や能力を実際には備えていなかった場合には、管理者の報告書などの書面を残しておくことをお勧めします。

【ケース2】有期契約を更新しない場合、予告が必要か

【Q】
わが社では、病気で休んでいる社員の補填として1年契約で臨時社員を雇用していましたが、療養が長引きそうなのでもう1年契約を更新しました。
特に「更新は今回限り」というような話はしていません。
1回更新しただけのような場合でも、次回契約を更新しない場合にはあらかじめ予告する必要があるのでしょうか。

【A】
ご質問のケースでは、契約を更新しない場合は少なくとも契約期間の満了する日の30日前までに、契約を更新しない旨を予告しなければなりません。

【解説】
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年10月22日付け厚生労働省告示第357号)をもって有期労働契約の締結・更新・雇止めについての基準が示されました。
その告示の第2条では
・ 1年を超えて継続勤務していて、
・ あらかじめ契約を更新しない旨明示されていない
有期労働契約については、契約満了の日の30日前までに契約更新をしない旨の予告をしなければならないこととしています。
ですのでご質問のケースでは、たとえ更新は1回であっても1年を超えて継続勤務しているという実態があり、あらかじめ契約を更新しない旨明示している事実もないので、契約を更新しない場合は、少なくとも契約期間の満了する日の30日前までにその予告をしなければなりません。

【ケース3】無断欠勤・遅刻・早退を繰り返す従業員を懲戒解雇したい

【Q】
頻繁に遅刻や早退を繰り返し、明確な理由なく欠勤をする従業員がいます。
注意すると反省の言葉は口にするものの、遅刻や早退は一向に改善されません。
この従業員を懲戒解雇することは可能でしょうか。

【A】
遅刻・早退・欠勤の理由がその従業員側の責に帰すべき事由であり、その回数が相当数にのぼり、業務に支障が出ている場合は懲戒解雇できる場合があります。
ただし、まずは戒告・けん責といった軽度の懲戒処分を与えましょう。
それでも改善されない場合に初めて懲戒解雇にいたるべきです。

【解説】
労働者は、使用者の指示に従い、定められた時間に出社し、定められた時間まで就業する義務があります。
遅刻・早退・無断欠勤を繰り返すことは労働契約上の基本的な債務の不履行にあたります。
その態様がひどくなれば職務秩序違反となり、懲戒解雇事由にも該当します。
ただし解雇事由があってもただちに解雇が認められるわけではありません。
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇権の濫用として無効となります。

では、どの程度の無断欠勤等があれば懲戒解雇が許されるのでしょうか。
その判断は無断欠勤等の程度だけではなく、理由や原因、反省の有無、業務に与えた影響、他の同様の例に対して会社が今まで取ってきた措置との均衡などを元に総合的に行う必要があります。
例えば、会社側に何らかの落ち度があり、それに対して従業員が反発して遅刻を繰り返すなどという場合は、単なる職務怠慢と判断することはできません。
また、同じような事例で他の従業員に対してはけん責処分にとどまっているのに、今回の従業員は懲戒解雇にするというような不均衡がある場合も、その処分は認められません。

つまり、会社が日ごろからこれらの行為に対して規律正しく、厳しい対応を取っていることが必要となります。
また、無断欠勤や遅刻・早退の事実関係を具体的に記録し、まずは注意を与え、改善のチャンスを与えることが大切です。

【ケース4】「退職勧奨に応じなければ解雇」はOK?

【Q】
人件費を抑えるため、中高年層を対象に退職を勧奨しようと考えています。
その際「退職勧奨に応じない場合は解雇する予定」という内容で説得しても大丈夫でしょうか。

【A】
退職勧奨はあくまで本人の真意を確認し、自発的な退職の意思表示を求めるものです。
不正確な情報を与えて誤った判断をさせたり、不当な圧力を加えて判断させてはいけません。
たとえ退職届を出させることが出来たとしても、詐欺・脅迫による意思表示として、有効な退職とならないこともあります。
また、不法行為として損害賠償の問題が生じる場合もあります。

【解説】
退職勧奨とは企業が従業員に対して、自発的な意思による退職を促すことです。
あくまでも労働者の自由な意思形成を前提としており、それを阻害した場合には、たとえ労働者が退職の意思を示したとしても、後になって取り消しや無効を主張されることがあります。
例えば、次のような場合は労働者は後から退職の意思表示を取り消すことができます。
・労働者に圧力を加えて選択の自由を奪い無理やり退職させる(脅迫による意思表示:民法96)

・労働者に虚偽の情報を与えて判断を誤らせることにより退職させる(詐欺による意思表示:民法96 もしくは錯誤による意思表示:民法95)
また、労働者が退職勧奨に応じる意思がないことが明白になっているにもかかわらず、執拗に退職勧奨を繰り返すことは不法行為となります(民法709)。

【ケース5】うつ病の社員から退職届が出された

【Q】
遅刻や欠勤が急に増えた社員がいます。
注意・指導を行っていると、実はうつ病であるとのこと。
これ以上勤務する気力がない、と退職届が提出されました。
このまま受理し、退職手続きを進めても大丈夫でしょうか。
それとも 私傷病休職等の措置を講じてから退職の扱いとしなければならないのでしょうか。

【A】
法的には、うつ病を理由とする退職届であっても、退職を慰留する義務があるわけではありません。
本人の退職の意思が確実であれば通常の自己都合退職の扱いで問題ないでしょう。

【解説】
うつ病の程度が意思能力がないというほど重症ではなく、退職の意思が確実であれば、合意退職は成立します。
慰留しなければならないというような法的義務もありません。
私傷病休職というのはあくまで解雇猶予の措置です。
解雇ではなく自ら退職の意思のある者についてまで、これを慰留して休職制度を適用する義務はないでしょう。

ただし使用者には、労働者の生命および身体等を危険から保護するように配慮すべきという「安全配慮義務」が課されています。
長時間労働や業務のストレス、セクハラ・パワハラなどによって労働者の健康が損なわれることのないよう配慮しなければなりません。
また、すでにメンタル面の健康が損なわれている場合には、業務遂行の過程で悪化することのないように配慮する必要もあります。
このような安全配慮義務に違反があったとしても直ちに退職が無効になるわけではありませんが、損害賠償の問題となることもありますので注意が必要です。

【ケース6】論旨解雇・論旨退職の規定を作りたい

【Q】
就業規則に論旨解雇や論旨退職の規定を盛り込みたいと考えています。
どのように規定しておいたら良いでしょうか。
また、論旨解雇・論旨退職と懲戒解雇の違いや、論旨解雇・論旨退職を実施する場合に注意すべき点も教えてください。

【A】
懲戒解雇は、就業規則の懲戒解雇事由に該当する場合に、それに基づいて解雇する懲戒処分です。
通常は、解雇予告手当除外認定を得るか、または解雇予告手当を支払って即時になされます。
退職金の全部または一部が支給されません。
論旨解雇・論旨退職は、就業規則の懲戒解雇事由に該当する場合に、退職を勧告し、退職届の提出を求める懲戒処分です。
退職届が提出されれば任意退職の手続きをとります。
通常は退職金の全部または一部が支給されます。
退職勧告に応じない場合は懲戒解雇とされるのが一般的です。
就業規則にはそのような趣旨の取り扱いを規定しておく必要があります。

【解説】
懲戒解雇は懲戒処分の中で最も厳しい処分です。
退職金も支給されず、再就職等にも悪影響が予測されます。
論旨解雇または論旨退職にすることによって従業員は「懲戒解雇」という最も厳しい処分を回避することができます。
通常は退職金の一部または全部を受け取ることができ、再就職もしやすくなります。
また使用者にとってもメリットがあります。
従業員が提出した退職届に基づいて任意退職の手続きをとるので通常はそれ以上の争いを避けることができます。
ただし、その従業員を厳罰に処したことを社内外に告知する必要のあるときは、論旨解雇や論旨退職ではなく懲戒解雇とする必要があります。

なお、就業規則の規定上「論旨解雇」としても「論旨退職」としても処分内容は同じであり、本質的に違いはありません。
最近は「論旨退職」と規定することが多いようです。

【ケース7】協調性のない社員を解雇したい

【Q】
困った社員が1人います。
自己中心的・独善的で挨拶もしません。
取引先にも横柄な態度をとるので営業上もマイナスとなっています。
上司からの度重なる注意にも反発し、他の社員にその上司の悪口を吹聴する始末です。
就業規則の規定に基づき、その社員を普通解雇することは可能でしょうか。

【A】
抽象的ではなく具体的な事実として協調性の欠如を特定でき、またその行為によって業務に支障をきたし、かつ上司から再三注意されても改めないという場合であれば、就業規則の規定に基づき普通解雇することができます。
ただし、裁判で争うようなことになった場合、上司が日々記録した社内記録などの証拠がないと敗訴することもありえます。

【解説】
裁判になった場合、協調性の欠如を理由とする普通解雇が有効か無効かの判断を分けるポイントは以下のようなものが挙げられます。
・協調性が欠如していたことを客観的・具体的に立証できるか
・協調性が欠如していたことで実際に業務に障害を及ぼしたか
・何度も注意したり、異動させるなど、再起の機会を与えたか

【ケース8】精神病暦を隠して入社した社員を解雇したい

【Q】
入社して5年ほどになる社員についてですが、最近奇妙な言動が目に付くように なりました。
そこでその社員と面談して話を聞いてみると、入社する3年前にうつ病で3ヶ月間入院していたことがわかりました。
入社面接で健康状態について質問したときには、いたって健康で過去に重い病気をしたことはないとの回答でした。
ちなみに入社時の健康診断でも異常はありませんでした。
過去の病歴を隠して入社したことを理由にこの社員を解雇することは可能でしょうか。

【A】
労働者の採用選考にあたっては、応募者は一定の範囲内で使用者から問われたことについて真実を告知すべき信義則上の義務があります。
これに反して重要な経歴を偽って雇用された場合には、それは解雇の理由になります。
しかし、採用選考を目的とした健康診断は、応募者の能力と適性を判断する上で合理的かつ客観的にその必要性が認められる範囲内に限定して行われるべきものとされています。
すでに治っている単なる過去の精神病歴は応募者の能力・適性とは一般的には無関係です。
今回のケースの場合も採用選考時にはうつ病は治っており、そうした過去の病歴は個人のプライバシーの最たるものであることを考えると、それについて応募者に申告を求めること自体がそもそも妥当性に疑問があるといわざるを得ません。
よって、その秘匿を理由とした解雇は相当性を欠き無効とされる可能性が高いでしょう。

【解説】
最終学歴や職歴・犯罪歴などを詐称しての入社は、労働力の評価・配置や企業秩序の維持の観点から、重要な経歴の詐称と認められる可能性は高いでしょう。
しかし、すでに治った過去の病歴について詮索して申告を求めることが「必要かつ合理的な範囲内」と言えるかというと疑問です。
また、その精神病歴が分かっていれば採用しなかったということになると、精神病に対する偏見という観点から社会的批判にさらされることにもなります。
雇用契約における労働者の病気や障害ということについては、その内容や程度が労務提供にどのように影響するかということのみ論じるに留めておきましょう。

【ケース9】適格性を欠く教師を解雇したい

【Q】
高等学校を経営する学校法人です。
適格性を欠いている英語教師を普通解雇したいと考えています。
・研修会に出席しない
・例年のスキー合宿にも参加しない
・職員会議中にテストの採点を行う
・休み時間中、生徒のいる職員室内で同僚や校長を大声で罵倒する
・毎日行うべき出勤簿への捺印を行わない
・生徒の成績素点を提出せず、自身の担当する授業について成績評価を不能にさせる
以上のような行為を校長の再三の注意指導にもかかわらず繰り返しています。
高校の業務にも支障が出ていますのでその教師を普通解雇したいのですが、認められるのでしょうか。

【A】
適格性欠如を理由とする普通解雇が有効かどうか、判断が難しい場合が多いのですが、今回のケースでは普通解雇することは可能でしょう。

【解説】
相談事例のような行為は教師として適格性を欠くといえます。
業務に支障をきたしており、校長による再三の注意指導でも改善されないとのことですので、適格性欠如を理由として普通解雇することができるでしょう。
有効・無効を分けるポイントとしては
・ 適格性欠如について会社側が客観的・具体的に主張・立証できるか
・ 業務に支障をきたしているか
・ 再三の注意指導や配置転換など、可能な限り再起の機会を与えているか
となります。

解決後に大切なこと

ここに挙げたような目先の問題を片付けた後はやはり・・・

・ 就業規則等の作成・見直し
・ 採用方法の見直し
・ 職場環境の見直し(人間関係の把握し直し)

など、起こってしまった事案に合わせた再発防止策を講じる必要があります。
詳しくは「失敗しない新規採用」のページをご覧ください。

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